遠回りの人生になるかもしれないけれど…

第一、もともとフランスに行くことを決めた本来の目的は「フランスにしばらく住んで現地の暮らしぶりを知る」ということ。

日本と変わらない環境で仕事に忙殺される日々では意味がないのではないか……。

そんな懸念に加え、日本の一級建築士の資格はフランスでは通用しないため、フランスで正式な建築士として働くにはフランスの大学院を卒業する必要があったのです。

「それならば」と、これからの2~3年は、大人の夏休みのつもりで仕事から一1度離れ、学びの期間に充ててみようと考え、「留学」という形の渡仏が浮かんだのです。

フランスの大学院に入れば必然的にフランス語も学ばなくてはいけないし、フランス人とのつながりもできる。

人生遠回りになるかもしれないし、フランスの大学院での生活は決して楽ではないかもしれないけれど、長い人生を考えるとそれが私の最善の道に思えました。

こうして、2016年、私はナント建築大学大学院へ応募し、無事合格することができたのです。

 

私が決める、私の幸せ』(著:大畑典子/ワニブックス)