新しいフランス流の愛の形

さて、そんな私たちですが、日本で言うところの「結婚」はしていません。

その代わりにPACS(パックス)」というフランスのパートナーシップ制度により、法律的に夫婦と認められています。

PACSとは「Pacte Civil de Solidarite」の略で、日本語では「連帯市民協約」と訳されます。PACSが施行されたのは1999年、もともとは同性カップルのためのものでした。

同性カップルであっても、税金の控除や共有財産の構築といった結婚した夫婦と同等の社会的恩恵が受けられるように「性別に関係なく、成年に達した2人の個人の間で、安定した持続的共同生活を営むために交わされる契約」として誕生したのです。

ちなみに、フランスで同性婚が認められたのは、2013年です。

当初、同性カップルを考慮して制定されたPACSですが、手続きが婚姻手続きに比べて簡単なことと、子どもを持つための手続きや、共同での不動産購入など、社会生活を送る上でも婚姻関係とさほど変わりないことから、異性カップルであっても選択する人が増えてきました。

ちなみにフランス統計局のデータによると、2022年の婚姻届出数23万7000に対し、PACSの届出は19万2000です。

この数字から見てもわかるようにPACSは新しい夫婦、家族の在り方として結婚と同様に社会に受け入れられているのです。

 

PACSをしたお祝い(写真提供:『私が決める、私の幸せ』より)