吉原を楽しいことばかりの場所にしようと
かくして完成した錦絵『青楼美人合姿鏡』。
直接蔦重から手渡された瀬川は、花魁たちの絵の中に、本を読んで過ごす普段の自分の姿を見つけて喜んだ様子を見せます。
まじまじと絵を見つめる瀬川。口を開くと「わっちの絵はこの世でこれきり。嬉しいもんだね。フフフ」と微笑みながら、「ずるいよ。こんなふうに描かれると楽しかったことばかり思い出しちまうよ」と大粒の涙をこぼします。
すると障子を開き、吉原の大通りを眺めた蔦重。
「俺は吉原を楽しいことばかりの場所にしようと思ってんだよ」「(女郎が)吉原来りゃ人生ひらけるなんて言われて…そのうちわざわざ吉原来て、うめえことやろうって考えるやろうも出てきてよお」
と、心の内に秘めた夢を語ります。