お客様にどう見えるかを意識した舞台構成
演出も構成もすべてを引き受けているくれさん。全体の動きを見ながら、「ここはやっぱり倍速にしよう」「ここはやっぱり斜めを向こう」と臨機応変に振り付けも変えていく。お客様にどう見えるかを常に意識した舞台構成が続く。
「宝塚のときから、お稽古を見るのが大好きなんです。自分の出番でないときでも、トップさんや他の方のお稽古の様子を横から見て、演出家の先生や振付の先生、音楽の先生方と、その場面の演出や演技をつくりこんでいくのを見るのが好きでした。それがきっと今に生きているんだと思います」
3年間続けて出演するという参加者は「このプロジェクトに入って仲間ができたのがなによりうれしい」と話す。「自己表現するのって、こんなに楽しかったんだって思い知って、もう抜けられません (笑) 」
「40代、50代は子育て、介護と本当に忙しかった」という女性は「そこから解放されて、じゃあ自分はこれから何をすればいいの?と思ったときに何もなくて…。友人に誘われて試しに参加したのですが、最初は鏡で全身を見るのもつらかったんです。だからコンタクトレンズもわざと度を抑えて、はっきりと自分の姿が見えないようにしていました」とはにかむ。

ゆか先生から「ちゃんと自分の姿を見て!」と言われて度を合わせ、今はきちんと自分の姿と向き合っているそう。
京都から参加している女性。普段は高校教師と妻と母の役目を果たしているが「ここでの自分は非日常の自分。これがあるから普段の私もがんばれる。主人には見に来てほしくないな~」と明るく笑う。
一度出演すると「こんな自分でもいいんだと自信がついた」「本来の自分の夢や生き甲斐を再発見した」「殻がバリバリ割れていたことに自分が一番びっくりだった」という声も聞けた。