「外だけでなく、家の中にも“心のコーナー”を」右から、鈴木保奈美さん、林真理子さん(撮影:大河内禎)
最近は、定年して家にいる夫に気を使う日々だという作家の林真理子さん。3人の娘たちの育児にてんてこまいの日々がようやく落ち着いてきたという女優の鈴木保奈美さん。仕事でも第一線で活躍するお2人は、「自分のための時間」をどのように確保しているのでしょうか(構成=篠藤ゆり 撮影=大河内禎)

ようやく子どもが手を離れてきて

 保奈美さんは3人のお嬢さんを出産後、10年間女優の仕事をお休みされていたんですよね。

鈴木 はい。でも休み明けで大河ドラマの現場に初めて行った時、共演者の方々は「あ、戻ったの」というぐらいごく自然に迎えてくださって。休業中、「今は専業主婦」とはっきり区切りをつけていたつもりだったけれど、大袈裟に考えていたのは自分だけだったと気づきましたね。

 周囲もブランクを感じなかったのは、独身時代に活躍なさったからでしょう。

鈴木 私はそれを「『東京ラブストーリー』景気」と呼んでいます。(笑)

 女性は子育てに追われる間、社会から断絶されているという孤独や焦りを感じやすいと言われますけど、女優業を休んでいる間、そういうつらさはなかったんですか?

鈴木 毎日てんてこまいで、正直、孤独を感じるヒマもなくて。今日をどう生き延びるか、みたいな日々でした。(笑)

 うちは娘が1人ですが、それでも赤ちゃんの頃は細切れにしか眠れなくて、疲れてボーッとしていました。それが3人も続いたなんて。でも全員がお嬢さんだと、楽しそう。

鈴木 うるっさいですよ。誰かが必ずしゃべっているから、聞いているだけでも疲れます。1人でスーパーに行けるようになった時は、「しゃべらないで買い物できた!」と新鮮で。今は上の2人が大学生になって家を出ているから、やっと静かになりましたね。

 地方ロケの時は、どうなさっているの?

鈴木 2017年の朝の連ドラ『わろてんか』の時は、大阪での撮影だったので、娘たちに「行ってもいい?」と聞いたら「いいよ」って。その頃はもう高校生と中学生になっていたし、夫の手も借りて、行くことができました。