「娘が独立してくれたら、家とは別に自分だけの部屋を借りたい」(林さん)

これからの夢が広がって

鈴木 女優の仕事は、時間が不規則ですし、独身の頃は時代的にもイケイケだったから、夜遅くまで遊んだこともありましたが、子どもができて一変。毎朝早く起きて規則正しい生活をするのはかえって新鮮でした。おかげで健康になったと思いますね。体調に関しては、若い頃より今のほうがいいくらいです。

 私も、夜中の3時くらいまで仕事をして昼近くまで寝ているような生活があるときイヤになって。100%自分のためだけに時間を使える人生は虚しいなと感じて、結婚したいと思いました。まぁ、「こんなはずじゃなかった」とも思いますけれど。

鈴木 私は当時、自分のために100%時間を使える喜びに気づいていなかった。子育てで目が回りそうになって、「独身時代にもっとうまく時間を使えていればよかった」と後悔することばかり。英語を習得するとか、見聞を広めるとか。だから、ここ10年くらいは、とにかく「子育てが終わったら」と、そればかり考えていましたね。

 子どもの手が離れることを見越して、始めたことってありますか?

鈴木 友だちと中国語を習い始めました。これからの希望としては、外国に住んでいる友だちのところにも行きたいし、一人旅もしたい。もともと一人旅が好きなんです。結婚してからは機会がなくなりましたが、一人旅って続けていないと、スキルが落ちるんですよね。ちょっと自主トレーニングしないと。

 私の夢は、娘が独立してくれたら、ワンルームでもいいから家とは別に自分だけの部屋を借りたいの。今は自宅に仕事部屋があるんだけど、そこが寒くて。それでリビングで原稿を書いていると、夫が「ここで仕事をするな」と。

鈴木 私もエッセイを書くのはリビング。台本を覚えるのはお風呂に入っている時か車の中ですよ。

 えっ、ご自分の部屋はないの?

鈴木 ないんですよ……。子どもはそれぞれ部屋があるのに、「あれっ、私は?」って思いますよね。最近は、空いた子どもの部屋を借りて、パソコンを持ち込んだりしていますが。もし自分だけの空間があって、そこで取り組んだら、気持ちの変化が仕上がりにもあらわれるのではないか、と思うことはあります。