小銭の両替

昨年からは物価が高騰して、食材の仕入れ値が全部値上がりした。

輸入品は特に高くなったし、ものによっては倍の値段になった。

揚げものに使う油も倍ぐらい値上がりしたから、看板メニューの唐揚げにも工夫が必要になる。

本当はいつも同じような商品を提供したいけれど、ハンバーグ風唐揚げやメンチ風唐揚げにしたりと知恵を絞っている。

でも、どんどん仕入れ値は上がっていく。

この物価高の中で、ラーメン屋はみんな工夫のしようがないからたくさん潰れているんだと思う。

電気、ガスの光熱費も上がって、うちの店も固定費は2020年以前と比べると、1.5倍にはなっているね。

両替の手数料も高くなった。

銀行で10円硬貨を500枚両替するのに400円もかかるようになり、なるべく10円硬貨が出ないようにメニューの料金を改定させてもらった。

たとえば、看板メニューの「カレー白湯ら~めん」は以前は普通盛りが850円、大盛りが950円だったけれど、大盛りを標準にして1000円にした。

小銭の両替が経営に影響するなど、開業当初は露ほども思っていなかった。

※本稿は、『プロレスラー、ラーメン屋経営で地獄を見る』(宝島社文庫)の一部を再編集したものです。

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