「受かったと聞いた時は耳を疑いました。その後、天皇の役だと認識して、またビックリ。えーっ! そんな高貴な役、僕にできますか?って。(笑)」

いつも心がけているのは「受けの芝居」

昨年は、NHK大河ドラマ『光る君へ』をはじめ、映画やドラマへの出演が続きました。作品ごとに刺激的な方々との出会いがあり、必ず学びがあるという意味では、これまでに出合った仕事のすべてが転機だったといえるのですが、なかでも大河ドラマで一条天皇役をやらせていただいたことが大きかった。

国民的ドラマの影響力はとにかくすごいですね。両親や祖父母世代の方から「頑張って」と応援していただく機会が飛躍的に増えました。つまり、『光る君へ』は僕の出世作となったのですが……。

実のところ、オーディションに臨んだ時点では、何も理解していませんでした。マネージャーさんは役柄について伝えてくれていたようなのですが、僕は普段からボーッとしているうえに、端から期待していなかったというのが正直なところ。

それだけに受かったと聞いた時は耳を疑いました。その後、天皇の役だと認識して、またビックリ。えーっ! そんな高貴な役、僕にできますか?って。(笑)

でも、プロデューサーさんが僕を選んだ理由について、相手役のセリフをよく聞いて、相手の出方によって自分の芝居の仕方やセリフの言い回しを変える「受けの芝居」ができる人だからと言ってくださったことが嬉しかった。

いつの頃からか、僕は相手が輝くように演じようと心がけていて、そのためには相手の芝居をしっかりと受け止めることが大事だと思っていたので、自分の表現方法は間違っていなかったんだと、大きな励みになりました。

もちろんプレッシャーがあったことは否めませんが、だからこその達成感を得て、また一つ成長できたかなと思っています。

「ずっと一条天皇の衣装のままでいてほしい」と言ってくださる方もいて、最高の賛辞だとありがたく受け止めているのですが、現実的には、そういうわけにもいかなくて。(笑)