2024年の大河ドラマ『光る君へ』では、雅びやかで凜とした佇まいの一条天皇役を演じて話題に。30歳を迎えた今年、役者としての信念や、結婚観について聞いてみると――(構成:丸山あかね 撮影:小林ばく)
順風満帆とはいかなかった20代
今日撮影してくださったカメラマンさんとは、デビュー作であるスーパー戦隊シリーズ『獣電戦隊キョウリュウジャー』に出演した18歳の時からのおつきあいです。この1月に30歳になりましてと伝えたら、「嘘だろ」ってビックリされてしまいました。
確かにあっという間だったなと思います。でもその一方で、ここまでの12年間は、なかなかに濃密だったと振り返る自分もいるのです。
ありがたいことに仕事に恵まれ、ドラマや映画や舞台でさまざまな経験を積むことができました。でも順風満帆だったとはいえません。同じ頃にデビューした人たちが評価を得て、どんどん輝きを増していく。
僕の後にデビューした人たちも次々と羽ばたいていくと感じ、心がすさんでしまうこともありました。僕にはコレといった代表作がなく、「自分は役者に向いてないんじゃないか?」と思えてきたりして。
その頃は、「とはいえ、ほかにできることもないし」と後ろ向きな感情を抱えつつ、いずれにしても頑張るしかないと、目の前にある仕事に全力投球。どうせやるなら真剣に勝負しないと悔いが残る。それでも駄目なら仕方がないと、自分の心に折り合いをつけているつもりでした。