
2025年3月9日、大相撲春場所がエディオンアリーナ大阪で開幕。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。
新横綱・豊昇龍が休場
大相撲春場所10日目は、幕内力士土俵入りの後に、館内放送で新横綱・豊昇龍の休場が伝えられ、満員の観客のざわめきと「えっ」、「ええ~っ」の声が聞こえた。豊昇龍は場所前に「休場はしない」と断言していたが、私はどこか不安なところがあり、自分を鼓舞するために言っているのかな、と感じてしまった。
豊昇龍は9日目までに4敗し、右肘関節内遊離体、頸椎捻挫で休場。新横綱の休場は昭和61年以来39年ぶり。
豊昇龍は、先場所の千秋楽で右肘を痛め、今場所、さらに痛めたそうだ。豊昇龍の師匠である立浪親方(元小結・旭豊)の「理想と現実の違いを肌で感じているのではないか」という話しが伝えられ、横綱道は厳しいものだと思った。
10日目を終え、1敗を守ったのは、何回も優勝を目の前にしながら逃してきた35歳の前頭4枚目・高安ただ一人。高安は、9日目にカド番の大関・琴櫻を下手出し投げで破り、10日目には1敗の大関・大の里を寄り切りで降した。
2敗は大の里、前頭6枚目・尊富士、前頭14枚目・美ノ海の3人。昨年、出世が早くて髪が伸びるのが間に合わず大銀杏が結えないまま、尊富士は春場所に、大の里は夏場所と秋場所で優勝。高安とは対照的だ。
勝利のインタビューで高安は、9日目に「年を重ねるごとにいろいろな事を感じて、相撲の醍醐味を味わっています」と話し、10日目も醍醐味を味わい、「やはり、しびれます」と語り、相撲を取る面白さの極致に達しているよう。40歳で勝ち越しまであと1勝の前頭7枚目・玉鷲と「年を重ねても相撲を取る醍醐味」をテーマに対談をしてもらいたい。