「大相撲が変わった」と思った
10日目に、高速美声の実況の佐藤洋之アナウンサーが「素晴らしい相撲が展開しました!」と叫んだのが、関脇同士の大栄翔と王鵬の突き・押しの攻防。正面解説の琴風さん(元大関・琴風)と向正面解説の荒磯親方(元関脇・琴勇輝)も絶賛していた。
大関への足掛かりの場所である大栄翔は、王鵬に引き落としで勝ち7勝。小結を飛び越えて関脇になった王鵬は4勝で、とにかく勝ち越してもらいたい。
そして、なんとしても勝ち越さなくてはならないのが、5勝の琴櫻だ。祖父の横綱・琴櫻の四股名を大関以上で守って欲しい。
大相撲が変わったと思ったのは、9日目に豊昇龍を、10日目に琴櫻を破った前頭4枚目・一山本の勝利のインタビューだ。天真爛漫そのものの笑顔。私の子どもの頃は、横綱、大関に勝ってこの笑顔だと、まず解説者から文句が出て、あとで親方たちに叱られることは確実。時代が変わったということだ。役所に勤務してから大相撲の世界に入ったのも、若隆景ファンでグッズを集めまくっているのも、名前の画数が悪いからと「一」をつけたのも、5場所連続で千秋楽に7勝7敗なのも、全てがユニークな一山本だ。
10日目は、『思い出の土俵 昭和50年春場所 〜貴ノ花初優勝〜』として昭和50年の春場所に私が生涯ファンと決めている大関・貴ノ花様(横綱の3代目若乃花と貴乃花の父親)が優勝決定戦で横綱・北の湖を破った相撲が放送され、私はテレビの前で仁王立ちになって拝見し、感涙し、10日目はこれだけで満足してしまった。