はづき 友だちに「夫と別れたら、自分は変われる」と言う人がいるのだけど、「本当にそうかな?」って思う。それよりも、自分自身の力で変わることを考えたほうがいい。「3年後、こんな自分になっていたらいいなあ」とか「こんなことをしたいなあ」とか、自分が進化していくイメージを持つ。
たとえば「子育ての修業・修了」「家庭の修業・修了」とか、ひとつ終えるたびに、「この修業を終えた時に、私は何ができるかな」と考えてみる。「どんなごほうびにしよう」でもいい。自分で見つけに行かないと、誰も新しい自分を持ってきてはくれないから。
カンナ そうやって、はづきも50代で刺繍教室を始めて、家着ブランドも立ち上げたんだものね。
近い存在だからこそ、適度な距離感で
はづき お母さんを見習わなきゃと思ったことが、もうひとつあるの。
メイコ どしどし言って。(笑)
はづき 何事にも執着しない。「あの頃はこうだった」と過去のことも未練がましく言わないし。
カンナ お父さんが脱いだ上着のポケットに手を突っ込んで、変な名刺が入ってないかチェックする……とかも絶対にやらないね。子どもに対しても執着しない。私とはづき、両親の家はそれぞれ歩いても行ける距離だけど、お母さん、うちに年に一度くらいしか来ないよね。私たちが行くことはあるけど。
はづき 何かの時に集まって、その時に団結して、それぞれの役割を受け持てばいい。家族というより「チーム神津家」のイメージよね。
カンナ 「愛」と「執着」は別のもので、もちろん愛はあるだろうけれど、近い存在だからこそ、気を使わなくちゃいけないこともある。ハリネズミと同じで、近すぎるとそばにいる人を刺しちゃうし、適度な距離感を見つけることは大事。
メイコ 私は、親だから、子だからといって、縛りあいたくないの。だから、少し距離を置いてあなたたちを見守り続ける今の状態がとても快適よ。私自身がひとりっ子だったこともあって、家族といえども、常に視界の中に誰かがいるのはあまり好きじゃないのよね。
カンナ 家族が一緒だと、お母さん、ワガママになるから。(笑)