メイコ 神津さんと私が六十何年も夫婦でいられるのは、2人とも「孤独」とか「ひとり」が好きだから。うちにいても、食事以外はほとんど別々の部屋で、お互い違うことをしてるもの。
はづき 着替え中にお父さんが入ってくると、いまだに「きゃあ!」って言うよね。何が「きゃあ」だよ、と私はいつも思ってる。(笑)
メイコ あら、夫婦の間でも恥じらいは必要よ。さらに言うとね、自分の中に「個室」をもつことはもっと大事。物理的な面でも気持ちのうえでもね。「ここだけは踏み込まないで」というのは誰にでもあるはずだもの。夫婦、親子の関係であっても、尊重しなきゃいけない。
はづき 今思えば、神津家では何でも自由にやらせてくれたよね。でも、必ず守らなきゃいけないルールはあった。年末年始に友だちとスキーに行きたいと言うと、「ダメ」。なぜなら、その時期はやることが全部決まっているから。
カンナ 年末はみんなで大掃除、買い出し、おせち作りとか。
はづき お母さんが出ていたNHKの『お笑いオンステージ』のオンエアの日は、家族全員で見なきゃいけない。「高校を卒業したら、海外に留学すること」というのもそう。
カンナ 言ってみれば、うちの場合、とても大きな土俵があって、その中であれば何をしてもいい。ただ、ポイントポイントに「ここは違えるな」「ここは押さえておくべきこと」というのがマチ針みたいに刺してある。それを超えちゃうとアウト。
はづき だから、わ~っと突っ走って行く時も、ギリギリで止まる自分が想像できるのね。
メイコ 2人とも偉い。私、自分について客観的に考えたことないもの。
はづき お母さんは、「好きに生きていいですよ」って言われた特権階級。多分、前世で功徳を積んだのよ。
カンナ 私たちは、こんなお母さんを受け止めることも含めて、今、功徳を積んでいるの、来世のために。
メイコ あら、じゃあたくさん積めるといいわね。(笑)