5000円のランチコースから、前菜の「鮮魚と筍のカルパッチョ」(手前)と、「大分県産錦雲豚(キンウントン)クレソンサラダ添え」(奥)。カルパッチョの鮮魚はさよりを使い、葉わさびのソースで春らしい仕立てに。3月20日からはじまる「春分」のコースでは、旨みと甘みをもったジューシーな豚ロース肉に相性のよい赤ワインソースが添えられる。メインの肉は鴨肉や牛肉になることも 撮影:福森クニヒロ
 

和・洋・中華を融合した花街の新味

春には桜や「都をどり」目当ての観光客で賑わう京都・祇園エリアに昨秋、オープンしたレストラン「祇をん段ばた」。花街にしっとり馴染む和の佇まいだが、店内はオープンキッチンで、木と白壁を基調にしたカジュアルな空間。

「気軽な雰囲気の中、二十四節気をテーマにした料理を味わってもらいます。一つの節気の中で走り、盛り、名残の食材を組み合わせ、2週間ごとにメニューを完全に替えています」と語るシェフの段畑祐介さん。

京都市内のホテルやフレンチ、中華の経験を積み、「レストランよねむら」(昨年閉店、今春移転オープンの予定)で培った、創作に富み革新を感じさせる料理を提供している。ランチは料理4品、デザート2品などからなる。野菜やパスタの下味に和だしを使ったり、ソースにはフレンチあり、イタリアンあり。時には小籠包や麻婆豆腐をアレンジした一品も登場する。

夜は必ず冷製パスタが登場。ゆでたカッペリーニを冷やして和だしとともに味わうスープパスタのような一品。上には甘海老、茗荷、芽ねぎがのる

春分の頃の前菜は、だしで炊いた筍と鮮魚にピリッとした辛みのある葉わさびのソースを添え、メインは旨みの濃い豚をじっくりと塊肉で焼き上げる。一見、穏やかな和洋折衷の料理のようだが、食材にも味にも緩急がある。和食とはまた違う日本の春の滋味を楽しみたい。