所得税の課税が生じる年収水準を表す<103万円の壁>を引き上げる改正案が議論されています。税金や年金など、お金に関するさまざまな制度が変わりつつある今、あらためてお金の勉強をしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、社会保険労務士・ファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんがお金の新しいルールを解説した著書『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』から、一部を抜粋してお届けします。
妻の気持ち Q.「年収の壁」って超えたら損ですよね?
先生の答え A.「壁」を超えなければ将来的にジリ貧です
扶養の範囲内で働く妻がずっと気にしてきた「年収の壁」。2024年の秋に突如として「103万円の壁」が話題になりました。控除額が増えれば実質的な減税になり、その恩恵を受ける人が増えることになります。
その一方で、「106万円の壁」をなくし、労働時間のみで判断することになりそうです。こちらは厚生年金に加入する人を増やそうというもの。
社会保険料の負担が増えるとなった途端、
「何が得で何が損なのかわからない!」
「パートのシフト減らさなきゃ」
「いっそのこと働かないほうが得なのでは?」
などと、誰しもが混乱しているように見えます。無理もありません。所得控除や社会保険の仕組みは、[働く夫+扶養される妻・子]という世帯構成を前提にしたものなので、現代にそぐわなくなってきたのです。今は、時代に合わせて制度を少しずつ作り変えている途中です。