(写真:stock.adobe.com)
50歳前後で発症率が上がり、日本人の3人に1人が80歳までにかかるといわれる帯状疱疹。女性が発症しやすいこともあって本来は身近な病気だが、症状や後遺症についてよく知らない、という人が多いようだ。治療が遅れると帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行する可能性があり、長年にわたって痛みが残るなど日常生活に支障をきたす。そのため厚生労働省は2025年4月1日より、65歳以上を対象に予防ワクチンの定期接種を始めることを発表した

水疱瘡になった人なら発症の可能性あり

帯状疱疹は、水疱瘡(水痘)と同じ水痘・帯状疱疹ウイルスが原因といわれる。子どもの頃に感染した水疱瘡が治ってもウイルスは背骨に近い神経節の中に潜伏しており、加齢や疲労、ストレスなどによる免疫力の低下とともに再活性化。

帯状疱疹として発症すると、神経を傷つけながら皮膚に向かう。その際、体の左右どちらかの神経に沿って痛みやかゆみを伴う発疹ができるのが特徴だ。

現在、15歳以上の日本人の9割以上が水疱瘡にかかったことがあり、誰でも帯状疱疹を発症する可能性がある。なお、1997年から行われている大規模な疫学調査(宮崎スタディ)によると、50代を境に発症率が一気に上昇。50歳以上の発症者が全体の7割を占め、70代でピークに達する。

「若々しい見た目を保てていても、免疫は年齢通りに低下するものと考えたほうがいいですね。帯状疱疹を発症する時期は、季節の変わり目や引越し、葬儀、大きな仕事が終わったあとなどに多い傾向があります」

と話すのは、皮膚科医のよしき銀座クリニック・吉木伸子院長だ。急速な高齢化に伴い、患者は増えているという。さらに2014年10月から小児に対する水痘ワクチンの定期接種が導入され、水疱瘡に罹患する子どもが急激に減った影響も大きい。