水疱が出ず、誤った初期対応も

抗ウイルス薬は、帯状疱疹発症から72時間以内に使うとより効果があると言われる。

「ウイルスの増殖を抑える薬なので、増殖しきってからでは効果が期待できません。ウイルスは倍々のスピードで増殖していきますから、治療は1時間でも早いほうがいい」と吉木院長。早期発見、早期治療がきわめて重要だ。

帯状疱疹は皮膚に症状が出る病気なのだから、すぐに気づけるのでは、と思う読者は多いかもしれない。実は筆者も数年前、50代でかかったのだが、水疱より痛みが先行したため、当初はまったく帯状疱疹を疑わなかった。

痛みを感じたのは、左側のお尻から足先にかけて。とりあえず家にあった湿布を縦一列にベタベタ貼った。痛みを抑えようと4時間ごとにロキソニンを飲んだが、夜も眠れないほどの激痛が続く。スポーツをしたあとだったこともあり、筋肉の炎症かと思って整形外科でレントゲンまで撮ってしまった。

処方された湿布薬では痛みが治まらないまま、数日。足の裏に水疱が出てようやく帯状疱疹を疑い、皮膚科を受診した。これまで帯状疱疹に関する取材を何度もしてきたのに、水疱が出るまでに時間がかかり、その場所が足の裏。しかも帯状にもなっていない。

気づきにくいケースだったとはいえ、間違った初期対応をして治療が遅れてしまった。幸いPHNにならずに済んだが、忸怩たる思いをしたものだ。吉木院長も、こう話す。

「帯状疱疹を疑ったら、まず皮膚科を受診してください。ただ、痛みなどの違和感の数日後に水疱が出ることが多く、整形外科や耳鼻科といったほかの科に行ってしまった、というのはよく聞く話です。全身のあらゆるところに発症するので、内臓や身体の深部に出て、皮膚に出なかった方もいますから」

皮膚科医が診れば、はっきりとした発疹や水疱が出ていなくても、帯状疱疹の可能性はある程度わかるという。

「治療が遅れることのほうがリスクが高いので、私は帯状疱疹を疑った段階で早めに抗ウイルス薬を処方します。身体の片側に出るのが特徴と覚えて、左右どちらかに違和感があったら、皮膚科を受診してみてください」

後編につづく