50歳前後で発症率が上がり、日本人の3人に1人が80歳までにかかるといわれる帯状疱疹。女性が発症しやすいこともあって本来は身近な病気だが、症状や後遺症についてよく知らない、という人が多いようだ。治療が遅れると帯状疱疹後神経痛(PHN)に移行する可能性があり、長年にわたって痛みが残るなど日常生活に支障をきたす。そのため厚生労働省は2025年4月1日より、65歳以上を対象に予防ワクチンの定期接種を始めることを発表した
あと1ミリのズレで失明していた
今回、取材したなかには、発疹や水疱、痛みが顔に出現してつらい思いをした人も多かった。
「なんだか目が疲れるな、と感じる日がありました。肩こりや頭痛もあったので、風邪の初期かもしれないと思って翌朝起きたら、右側のおでこからまぶたにかけて、まるで殴られたように赤く腫れていたんです」と話すのは川端佳子さん(仮名・63歳)だ。
眼科を受診すると「帯状疱疹だと思う」と言われ、翌日、かかりつけの皮膚科へ。「発疹で顔がすごい状態だったのでとても電車には乗れず、サングラスをしてタクシーで行きました」。
医師は川端さんの顔を診るなり、「すぐに入院したほうがいい」と提携先の病院を手配した。手続きを待つ間に抗ウイルス薬の点滴をスタート。入院して5日目には顔の腫れが引いてきた。点滴は1週間に及び、その2日後、退院した。顔に跡は残らなかったという。
「頭部に症状が出ると、視力や聴力の低下といった後遺症が残る可能性もあると説明を受けましたが、処置が早かったせいか、大丈夫でした。発症したのが旅先とか、海外でなくてよかった。すぐに治療が受けられなかったら大変なことになっていたと思います。
実は前年、夫が帯状疱疹にかかっていて。よほどの痛みだったのか、ワクチンを打つよう勧められていたんです。でもお産以外で入院したことがない私は、普段から薬も飲まないタイプ。健康オタクの自負もあり、夫の提案に耳を傾けませんでした。大変な経験をして、あまり頑固になりすぎるのも危険だと、いい勉強になりました」