この原稿を書いている最中、たまたまマンションのエレベーターで一緒になった70代の女性が、歩きにくそうにしていた。声をかけると、「帯状疱疹の後遺症で坐骨神経痛がひどく、杖がないと歩けなくなってしまったの」と言う。ペインクリニックでブロック注射を100回打っても、症状はよくならなかったのだとか。

いつもはつらつとしていて若々しい印象だったのに、いつからか、つらそうに歩く姿を見かけるようになっていた。怪我をしたのか病気なのか、気になっていたが、まさか帯状疱疹だったなんて。

「知識がなかったから、治療を始めるのが遅くなってしまって。帯状疱疹でこんなことになるなんて思ってもみなかった。私の話を聞いた人たちは、みんなワクチンを打ちに行ったのよ」

取材中、私もワクチンを打った。あの痛みをまた経験するのはゴメンだし、前にかかったときより年齢を重ねたぶん、確実に重症化のリスクが高くなっていると思ったからだ。

高い効果が10年続く組換えワクチンも魅力的だったが、副反応のことを考えて生ワクチンを選択した。これで万が一、発症しても重症化は避けられるだろう。

この記事を読まれた皆さんも、ぜひ住んでいる自治体の取り組みを調べ、帯状疱疹予防について検討してみてはいかがだろう。

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