行政機関への相談増加

また、美容医療特有の問題として、疾患の治療ではないことから、施術後の結果・効果に患者側が納得いかないケースや、治療の副作用や合併症などが生じるケースなど、さまざまなトラブルが生じます。こうしたトラブルが生じた際に、患者側が納得いくアフターフォローがされないケースも多く、行政機関などへ相談するケースが近年増加しています。

全国の消費生活センターなどの公的機関に寄せられる美容医療に関する相談件数は、2018年に1741件だったものが年々増加し、2022年には3462件、2023年には5507件と急増しています。

相談内容は、2023年度の調査(複数回答可)では、契約に関して「解約(全般)」が2287件、「返金」が2155件、料金に関して「高価格・料金」が1278件、施術に関して「施術不良」が1070件、アフターサービスに関して「連絡不能」が1199件など、多岐にわたるトラブルが生じていることがわかります※3。

現代医学が全くリスクのないものではない、という側面はもちろんあります。一般の保険診療における治療においても、薬の副作用・アレルギーが生じてしまったり、美容以外の外科系の手術においても合併症が生じたりすることもあります。美容外科は外科的な処置なども行う以上、合併症のリスクをゼロにすることは難しいでしょう。

しかし、通常の医療であれば、そうしたリスクについてきちんと事前に説明し、もしそうした事象が生じてしまった場合は責任をもって対応する、ということで、医師―患者間の信頼が保たれているといえます。

前述の消費生活センターへの相談内容をみると、「施術不良」以外の契約・料金に関する相談が多いことや、アフターサービスにおいて「連絡不能」が多数存在しているという点が、異様な点であるといえます。