健康寿命が延びる中、お金の不安を解決する唯一の方法は「働き続けること」。『とらばーゆ』元編集長であり、人生100年時代のライフシフトを研究する河野純子さんは、65歳までを年金の「待ち時間」とせず、「雇われる働き方」から「雇われない働き方」へとシフトする準備を始めるべきだと語ります。その目標は好きな分野で小さな仕事を立ち上げ、90歳まで続けていくこと。会社や家族のためではない、自分のための人生へ。ライフシフトするためのポイントを、河野さんの著書『60歳の迎え方 定年後の仕事と暮らし』より紹介します。
お金のためだけでは続かない
90歳まで働く。そう聞いて皆さんはどう思いますか?90歳まで働けたらお金の心配はいらないかもしれないけれど、いったいどうやって? きっとそう思いますよね。
確かにそうです。私たちは人生100年時代のトップランナー、まだ身近にロールモデルがいないので、自分が90歳まで働いている姿は想像しにくいですよね。
でも安心してください。さまざまなデータや専門家の話、そしてすでにチャレンジを始めている先輩たちの話を聞いていると、私たちはこれから90歳まで十分に働いていくことが可能だと思えてきます。しかもいまよりもっと楽しく、自分らしく、です。
この「楽しく、自分らしく」というところは、とても大事なポイントです。お金のためだけに90歳まで働かなければならないと思うと、それは辛すぎます。
紆余曲折ありつつも、私たちがこれまで働き続けてきた理由は、経済的な自立のためだけではなく、そこに楽しさがあったからですよね。これからもそうでなければ、とてもあと30年も働き続けることはできません。
最近、仕事が楽しくないという人も、思い返してみてください。20代のころの自分と比べたら、仕事を通じてずいぶん成長できたはずです。人に喜ばれたり、何かをみんなで成し遂げたり、社会に役立ったと思えた経験、さまざまな出会いなど、働いていなかったら得られなかったものがたくさんあったと思います。
これからもそんな楽しさを、もっと自分らしい形で味わっていけるのです。