「そろそろ、オレもちょっとヤバイかな」

一方、そんなはずはないという思いもありました。仰向けにしたら薄目を開けたような状態だったので、起き上がるかもしれない。なにせ父は、“普通ではない”人でしたので。

私は「こういう時、どうするんだっけ。119番? 110番?」と頭が混乱して。父の家が全焼した記憶も蘇ってパニックに。具合が悪くなり、夫に連絡をして来てもらいました。

ようやく落ち着いてきて119番に電話し、救急隊と警察の方が来ました。一見して事件性はないとのこと。ですが、自宅で一人で亡くなったら検視を行うのが決まりだそうで、父は運ばれていきました。

本日発売の『婦人公論』2月25日号(表紙=小林聡美)

翌日、虚血性心疾患で18日に亡くなっていたという見立てが。また、監察医の方から「首にしこりがありました」と言われました。しこりがあるなんて、まったく知らなかった。ただ思い起こすと、ここ3ヵ月くらい、家の中でも首が隠れるようなジャケットを着ていたんです。もしかすると、私に知れると病院に連れていかれると思って、隠していたのかもしれません。

そういえば亡くなる1週間ほど前、唐突に「おまえのがんは大丈夫なのか」と言うので、驚いた記憶があります。妊娠中の私に子宮頸がんが見つかり、子宮摘出手術をしてわが子を失ったのは、もう20年も前です。「治っているから」と答えると、「そうか、治っているんだな」と。あの時、何か言いたかったのかもしれませんが、今となってはわかりません。

数週間前には、「そろそろ、オレもちょっとヤバイかな」と言いました。私は「歩けるし食べられるし、普通にこうやって話せるんだから、大丈夫だよ」と答えて──「もしこの先、寝たきりになっても、私はパパを老人ホームには入れない。最後まで面倒みるね。でも、お風呂はヘルパーさんに手伝ってもらおうかしら。そういうのはイヤ?」と聞いたら、案の定「イヤだ」。でも、まだまだ先の話だと思っていました。

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本日発売の『婦人公論』2月25日号では、弟の俳優・開さんと一般人の弟さんには連絡せずに内輪で葬儀を済ませたことなど、「普通ではない」芸能一家の事情についても語っています