テレビやラジオなど多くのメディアで活躍した経済アナリストの森永卓郎さん。2023年末にがんであることを公表してからも活動を続けていましたが、2025年1月28日に逝去されました。今回は、森永さんが病と闘いながら書き遺した著書『森永卓郎流「生き抜く技術」ーー31のラストメッセージ』から、森永さん流<生き方の本質>を一部引用、再編集してお届けします。
スベったときのリアクションは狩野英孝さんに学べ
獨協大学で教鞭をとるようになって20年が経った。
私のゼミでは、2年生の春学期を中心にかなり特殊な教育をしている。それは、徹底したプレゼンテーションの訓練だ。
ここでは、ブレインストーミングやディベートといった通常のトレーニングに始まり、川柳や三題噺(さんだいばなし)(3つのランダムなテーマを即興でまとめて話す落語)、ものボケなどを通じて、あらゆる表現手段を学んでいく。
2年生の秋学期は、そうして身につけたプレゼンテーション能力を踏まえて、2人1組で労働経済関連のテーマで通常のプレゼンテーションをして、実践的な能力を確立する。
そして、私のゼミで最も重視しているのが3年生の授業だ。授業時間の90分間(2019年度から100分)をすべて発表者の学生に委ね、テーマ選定、企画、構成、パフォーマンスなどを自由に選ばせている。テーマは、ゼミの専門である労働経済学にとらわれない。宗教や政治、最先端産業、ダンス、音楽、宇宙、筋トレ、アニメなど、千差万別だ。
そして4年生になると、本来のゼミ研究に戻る。経済学関連の卒業研究の中間発表をしてもらい、ゼミ生同士で論評し合って、卒業研究を仕上げていく。