いまの獨協大学を作り上げたのは……

ちなみに先日亡くなった司会者の小倉智昭さんは、獨協大学の1期生だ。大学が創立されて最初の卒業生だから、就職活動の際に知名度がほとんどなく、苦労は多かったという。

そうした厳しい環境のなかでも、自分たちは独自の経験を積み重ねてきたのだという大学の自由闊達(かったつ)な文化と、そこで培われた能力をアピールしてきた。こうした努力の積み重ねが、就職にとりわけ強い、いまの獨協大学を作り上げたのである。

大学のゼミというと、いまだに100年前のカビの生えた原書を読み進めて、教授の論評を聞くような活動をしているところが多い。しかし、そんなことをして、一体何の役に立つのだろうか。学生のほとんどは、考古学者になりたいなどと思っていないのだ。

破天荒と言われる私のゼミ活動も、あと2年で定年を迎え終わるが、それを自由にやらせてくれた獨協大学には本当に感謝しているし、その気持ちは大部分のゼミの卒業生も共有してくれていると、私は強く思っている。

私がゼミの2年生に最初に指導することは、「黙るよりスベれ」ということだ。ハーフスイングでホームランを打つことはできないからだ。

 

※本稿は、『森永卓郎流「生き抜く技術」ーー31のラストメッセージ』(祥伝社)の一部を再編集したものです。


森永卓郎流「生き抜く技術」ーー31のラストメッセージ』(著:森永卓郎/祥伝社)

著者、奇跡の書き下ろし!

亡くなるわずか3週間前まで命を削りながら書き遺した日本人のための究極の幸福論!