子どものストレス耐性が優位に低下

研究チームは、体の大きさの異なる2種類のオスを同じカゴに入れ、体格の大きなオスが劣った側のオスを毎日10分程度ずつ一方的に攻撃するように仕向けた。

そのうえで、さらに効果的にストレスを与えるため、攻撃が終わってからも相手の姿が見えるように、透明なアクリル板で間仕切りをした。また、透明なアクリル板には穴を開けておき、相手のにおいも届くようにした。

劣った側のオスが十分に慢性社会的敗北ストレスにさらされたところで、精子を採取し、メスに人工授精を行った。人工授精が選択されたのは、オスが性的快感を得て慢性社会的敗北ストレスが軽減されてしまうことを防ぐためである。

こうして生まれた子どもたちのストレス耐性を調べると、そうでない子どもたちと比較して有意に低いということが明らかになった。また、ストレスを与える環境に置かれる前後でのオスの精子を比較すると、1000を超える遺伝子で発現パターンが変化していた。