20代 サラリーマン生活は「耐えがたき憂鬱」

ずいぶんマイペースな一三ですが、3カ月も遅れて入社した新人を、周囲がよく思うはずがありません。しかも一三が小説を書いていることも、早々と社内に知れ渡ってしまいました。

すぐに大阪への転勤が命じられたかと思えば、今度は貸付係から預金受付へと店内で左遷させられるなど、完全にダメ社員扱いを受けています。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

一三は小説家の夢に未練があったため、銀行を辞めて新聞社への転職を考えることもしばしばでしたが、かないませんでした。

プライベートでは、実家からの潤沢な仕送りを、茶屋遊びに散財。このときに知り合ったコウという女性と結婚することになりますが、銀行からすれば、「女たらしで役に立たない文学青年」という存在でしかなかったようです。