何をやってもうまくいかない
やがて東京本社に復帰するも、重要でない課に配属されてしまいます。一三は常にこんな思いを抱えていました。
「銀行の仕事は少しも面白くない」(※)
そんな不満を持ちながら、新聞社への就職はかなわずとも、せめて環境を変えたいと、住友銀行や北浜銀行への転職を試みるも失敗。三越呉服店に誘われたときは嬉々として借金までして三越株を買い込みましたが、最終的には内定に至りませんでした。
何をやってもうまくいかなかった一三。のちにこう振り返っています。
「東京における三井銀行時代は、私にとっては耐えがたき憂鬱の時代であった」(※)
(※)小林一三著『小林一三─逸翁自叙伝』(日本図書センター)
※本稿は、『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』(著:真山知幸/ディスカヴァー・トゥエンティワン)
本書は、いわゆる「大器晩成型」の偉人たちが、どのように中年期を過ごしたのかに注目しました。
今まさに、多くの人が中年期に直面する「ミッドライフ・クライシス(中年期危機)」を、偉人たちはどう乗り越えたのでしょうか?