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子どもの巣立ち、親の介護など…中年期を迎え環境が変わり、この先の人生を憂いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのようななか「後世で『偉人』と称された人のなかには、人生の後半で成功した『遅咲き』の人が少なくない」と話すのは、偉人研究家、伝記作家の真山知幸さん。そこで今回は、偉人たちがどのように中年期を過ごしたのかを記した真山さんの著書『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』より一部引用・再編集してお届けします。

「人間関係の変化」で、職場でも家庭でも孤立しがち

たとえ先が見えなくて不安に陥っても、思いを吐き出す相手がいたり、ともに悩む同志がいたりすれば、苦悩もいくぶんか紛れそうです。

ところが、人間関係の変化に苦しみ、孤立しやすいのもまた中年期なのです。たとえば、職場で昇進したことで、かつてない孤独感を抱えるケースも珍しくありません。

精神科医の河合隼雄氏は、クライアントからこんな相談を受けたことがあるといいます。仕事熱心で同僚の誰よりも早く課長になり、本人も喜んでいたものの、立場が変わったことで、仕事がさっぱり面白くなくなったとのこと。

自分がいかに無能かを思い知らされる日々で、会社に申し訳ないという気持ちから「課長をやめさせてくれ」と願い出ても聞き入れてもらえない……という悩みです。

「死んだほうがましだ」とさえ思うようになったといいますから、事態は深刻です。管理職となり、部下との付き合いに思い悩んでしまったのでしょう。

最近は、昇進を断る人も増えているといいますが、年齢的にリーダー職の打診を断りづらくなるのが中年期でもあります。部下に弱音を吐くわけにもいかず、表には出にくいですが、人知れず孤独に陥っている上司は思いのほか多くいるのではないでしょうか。