子どもが独り立ちしはじめる時期
また、中年期は子育て中の家庭において、子どもが独り立ちしはじめる時期でもあります。大阪医科大学産婦人科学教室の後山尚久氏は、「婦人心療・更年期・閉経外来」を1994年3月から2002年3月までに受診した症例のうち、653例にインタビューを行い、会話内容からストレス因子を解析しました(後山尚久「成長した子供と母親との関係:空の巣症候群を中心に」『女性心身医学』2002年7巻1号)。
すると、子どもに関してストレスを抱えている人が31.6%を占め、なかでも次のような悩みが多いことがわかりました。
「就職、結婚などによる子どもとの分離体験関連」(9.0%、44人/490人)
「子どもの生活態度に対する感情変化」(8.6%、42人/490人)
子どもの独立後に寂しさを感じる、いわゆる「空の巣症候群」と認定されるケースが、44症例に上ったと報告されています。
昨今は父親の育児参加も進み、子どもの独立に伴い、ぽっかりと胸に穴が開くのは、母親だけに限らなくなってきているようです。
職場でも家庭でも、これまでのように誰かに求められている実感が持てず、居場所がない──中年期はそんな状態に陥りやすいのです。