目標があれば練習は苦にならない
ものの見方を変え、「文殊の知恵」を定着させるためにしてほしい最初のステップは、自分の内側にある負の感情に気づき、どうなりたいか目標を立てることです。
「今日も愚痴ばかり言ってしまったな」「またイライラしている」と自覚したうえで、「なぜそんな自分のことが嫌なのか」と考える。そして、「毎日笑顔で過ごしたいから」「自分の人生、つまらなかったと思ったまま一生を終えたくない」などと、目標をはっきりさせる癖をつけることが大切です。すると、ものの見方や考え方が変わり、行動にも変化が表れます。
私の場合、負の感情が生まれた時に、「なぜ自分はそれにイライラしているのか」を突き詰めて考え、解消されるまで諦めない癖をつけたので、今では心の乱れをスムーズに整えられるようになりました。
なぜなら僧侶である私の目標は、悟りの境地に近づく=心おだやかでいることですから、そのための努力は苦にならないのです。
私はよく「お坊さんの修行は大変でしょう」と言われますが、これも目標が明確なのでつらくはありません。逆に、目標のない人が私と同じ修行をしたら、修行の苦しさにばかりにとらわれ、それこそ三日坊主で終わるでしょう。
皆さんも「健康でありたい」と思えば、日々の散歩や軽い運動も楽しめると思います。同じように「心おだやかになる」という目標を定めたなら、そのための練習も難なくできるはずです。