感性を育てる「おかげさま」の心
次のステップは、周囲の人やものに興味を持ち、感性を磨くこと。おそらく、『婦人公論』世代の皆さんは「おかげさま」の精神を自然と持てている方が多いと思います。「おかげ」とは「縁」のことです。
仏教には、「すべての物事は、世の中の縁が寄り集まった結果として生じる」という考え方があります。自分の力で成し遂げたと思っていることも、そこには多くの縁がある。ご飯をおいしく食べられるのも、健康に過ごせるのも、たくさんの人のおかげ。
そういった感謝の気持ちを忘れない方は、物事のいい点を見つけるのもきっと得意なはずです。ほんの少し訓練するだけで、ポジティブなものの見方を身につけられるでしょう。
ベトナムの禅僧ティク・ナット・ハンの言葉に、「1枚の紙の中に雲を見る」というものがあります。雲があるから雨が降り、雨が降るから木が育ち、木があるから紙が作られる。
このように、1枚の紙、1粒の米、1着の服に「縁」を見出して思いを馳せれば、感性が豊かになり、ものの見方も大きく広がっていくでしょう。