「余った人生」なんてない

私は定年退職する人によく、「今日も命の第一線、わが人生の最前線」という言葉を贈ります。職場は社会の第一線。そこを立ち去るのですから、皆さん一様に寂しい思いをするようです。

とはいえ、リタイアしたからといって人生が終わるわけではありません。今日もあなたは人生の最前線を生きている。だから、自信を持って前に進めばいいのです。

年を重ねて、家事や趣味が以前のようにできなくなった人にも同じことが言えます。「昔はよかった」と過去にこだわる人は、今の自分をみじめにするだけ。「どうせ私は……」と言う人は、過去の経験にすがっているばかりで、ちっとも未来に生きようとしていません。

自分は将来どうありたいのか、そのために今の自分に何ができるのか。そう考えた時に初めて出てくるのが知恵です。人を賢くするのは過去の思い出ではなく、未来に対する責任感。

老後のことをよく「余生」と言いますが、私は人には「余った人生」なんてないと思います。いくつになっても前を向いて、第一線を歩んでいきたいものです。