面倒ごとの9割は、人生で身に着てきた「こだわり=執着」のしわざと説くのは、真言宗密蔵院住職の名取芳彦さん。心おだやかでいられる時間と事を増やすには、「執着じまい」「こだわりじまい」「面倒なことじまい」が必要だといいます。執着の手放し方について説いた『60歳を過ぎたら面倒ごとの9割は手放す 我慢してばかりの人生から自由になる54の教え』より一部を抜粋して紹介します。
欲のしまい方
人には、認められたい、目立ちたい、不安を隠したいなどの欲求があります。
そう考えると、つい見栄を張ってしまうのは、認めてもらえていない今の自分に自信がないことと、裏表のようなものなのでしょう。
アメリカの作家であり、医師のオリバー・ホームズの名言に、「注目されたいという願いほど平凡なものはない」がありますが、目立ちたい気持ちの裏には、自分を特別な存在に見せたいという願いがあります。
これに対して、1つの解を与えてくれるのが、お釈迦(しゃか)さまが誕生して最初に口にした「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん/天の上にも天の下にも、自分という存在そのものが尊い)」という言葉です。
これは、人類初の人権宣言とも言われます。あなたは生まれたときからずっと、世界で唯一の人間です。それだけで充分特別です。
もし、特別な人間だと思ってもらいたいなら、自己アピールをして見栄を張るのは逆効果。自分なりに特別でいれば、それでいいのです。あとは他人が判断する問題です。