いよいよ直接対決
店長は窮しましたが、私に「今度機会があったら、そのまま連れてこい」と言われていたことを思い出し、「お客様、お時間はありますか。ご足労ですが、お客様と『お話をしたい』と言う者がおりまして、よろしければお会いしていただきたいのですが」「何だ、そいつは誰だ」と怪訝な顔をして探ります。「それが、お客様相談室の者で、『どんな迷惑をおかけしているのかお聞きしたい』と申しております」「時間はさほどないがいいか」「もちろんでございます」。10分もして4名がお客様相談室に来ました。
店長と書店役員と総務担当、そしてカスハラをしたEさんです。
私も、落ち着いた表情で応接室に通したまでは良いけれど、実は突然のことゆえ対応策は考えていませんでした。しかし、ここで片を付けなければ後に影響が残ります。
「こんにちは、初めまして。お忙しい中、こんなところにご足労願いましてありがとうございます。お名前を伺えますか」
「何で、用件も聞かずに名前を言う必要があるのか」
「では、失礼ながら、お名前が分かりませんので『あなた様』と呼ばせていただきます。私のところに入っている情報ですと、書籍の店頭でうちの女性社員がよく泣かされるとお聞きしまして、ぜひ会いたいと思いました。当然当方に非があることでしょうから、お詫びするのも私の役目です。お客様相談室長の関根と申します。よろしくお見知りおきを」
と、先鞭をつけます。
「なぜこんなところへ連れて来られなければならないのか、合点がいかない」
「店頭まで戻りますか、そこでも一向に差し支えはございませんが」
と、その会話を遮ります。