とはいえ、栄養が摂れないのでは意味がありません。私が考えたのは、必要な栄養素を効率よく摂れる「からだが整うスープ」です。

たとえば、豚のしょうが焼き、きんぴらごぼう、里いもと大根と葱の味噌汁を献立にした場合、それぞれに調理しなければいけません。けれど、これらの材料を1つの鍋で煮れば豚汁になります。

つまり、主菜、副菜、汁物の献立を1つのスープに置き換えることで、手間をかけずに同じ栄養素を摂れるというわけです。あとはご飯やパンなど主食を添えれば、これだけで立派な1食に。調理の時間もグンと減らすことができます。

「からだが整うスープ」のポイントは、たんぱく質を多く含む肉や魚と、ビタミン、ミネラルなどが摂れる野菜を必ず入れることです。私が考えたレシピにはどれも、たんぱく質がたっぷり含まれています。

それというのも、特にシニア世代はたんぱく質が不足しがちだからです。たんぱく質が不足すると、筋力の低下、肌や髪のハリやツヤがなくなるだけでなく、思考力や免疫力も落ちてしまうと言われています。

野菜はスープにするとかさが減り、量をたくさん食べられるうえ、溶け出た栄養を逃すことなく摂取できるというメリットも。

また、飲み込みやすいのはもちろん、煮ることで肉も根菜類もやわらかく噛みやすくなるため消化を助けてくれる、スープが体を内側から温めてくれるなど、いいことづくめです。