手間ひまかけて一汁三菜を作らなくても効率よく栄養を摂ることは可能です。78歳の料理研究家が実践する、心も体もいたわるレシピを伝授します(構成:村瀬素子 撮影:南雲保夫)
3食のうち1食をスープに置き換える
年を重ねるほど、体力的にも気力的にも、毎日の食事作りを負担に感じる人は多いようです。子どもが巣立ち、夫婦2人や、1人暮らしになればなおのこと。
料理の専門家である私でさえ、夫が留守のときは適当にさっと済ませてしまうことがあります。加えて、現在78歳の私は、若い頃のような食欲はなくなりました。
食が細くなると、体を維持するために必要なエネルギーや栄養素をきちんと摂取することが難しくなります。
さらに、シニア世代の食事は、メニューがマンネリ化して食材が偏ったり、手っ取り早くおなかを満たせる麺類や丼ものが増えて炭水化物ばかりになってしまう傾向が。その結果、栄養バランスが崩れ、《隠れ栄養失調》状態になる人が少なくありません。
ほかにも、「肉など硬いものが噛みにくい」「食べ物が飲み込みづらい」という悩みが増え、ますます食事が億劫になるという悪循環に陥ってしまいます。そこで思いついたのが、3食のうち1食をスープに置き換えること。献立を考える手間はもちろん、1食分でも調理がラクになれば心身の負担も軽減できるでしょう。