鴆は実在するのか
鳥の羽根で毒が? そんな馬鹿な、と思われた方も多いと思います。
一方で、2022年に国立科学博物館は『毒』展を開催し、多くの人が訪れました。ぼくも見学に行って、同館の細矢剛さんにお話を伺うことができました。
そこで早速、鴆毒のことを聞いてみたのです。すると鳥の展示に誘って下さった細矢さん。そこには、全長30センチくらいの一羽の鳥が。
名前は「ズグロモリモズ」といい、南太平洋のニューギニアに生息しています。この鳥は羽毛や皮膚に神経毒をもっていて、触れるとしびれや痛みなどの症状がでるそう。
つまり、鴆は実在していたのです!
ただ、ズグロモリモズの羽に毒があることがわかったのは、1992年。かなり最近のことなのです。博物館の学芸員がこの鳥の標本を触ると、どうも体に不調が出ることから、毒を持つことが分かったそう。
ということは、日本の中世にこの鳥を毒殺目的で使うことは難しいのではないでしょうか。