ほほ笑むEPOさんの写真
撮影:本社 奥西義和)
今年で芸能活動45周年を迎えるシンガーソングライターのEPOさん。壮絶だった幼少期のトラウマを克服するため、心理療法を学びました。自己肯定感を取り戻す過程で生み出された歌の数々が多くの人に癒しをもたらしています。これまでの歩み、そして夫と猫3匹とのとびきり幸せな沖縄生活について伺いました。
(構成:岡宗真由子 撮影:本社 奥西義和)

口から音を出すこともできない

2024年末に、声帯がウイルス感染して、3ヵ月声を使わない時期を過ごしたら、おかげさまで、声の性能がアップグレードされました。

芸能生活40周年を迎えた頃はちょうどコロナ禍で、周年イベントも中止。音楽活動があまりできませんでした。そして2024年、いよいよ来年45周年を迎えるぞ、というの年の年末に、声帯のウイルス感染で喉に炎症を起こしてしまい、全く声が出なくなってしまいました。歌どころか、口から音を出すこともできないほどの重症でした。

もしこれから歌うことができなくなったら?という不安が頭をよぎり、一時は絶望的な気持ちになりました。でも運よく、耳鼻咽喉科の先生に声専門のクリニックをご紹介いただくことができて。その先生に「ゆっくり休養したら、声は必ず出るようになりますよ」と言っていただいてからは、落ち着いて3ヵ月の静養に専念することができました。

専門医の指導で行ったのは、ストローを咥えて、声帯に負担をかけないよう、腹式呼吸で出た空気を声帯に当てながら「おおー」という低い声を出す“ストロー治療”という発声練習でした。それが功を奏したのか…なんと炎症が起きる前より声の音域が増えていました。私は自分のスタジオで、毎日声の状態を計測してきたので、一目瞭然。機能としての声は、以前より断然良くなっていました。前よりも歌える音域が広がったことで、歌うことにストレスや不安がなくなりました。

実は、これまで、声に関してそれほどトラブルもなかったので、私には“かかりつけの先生”がいませんでした。お恥ずかしい話、これまでボイストレーニングや専門家の指導を受けるという経験もありませんでした。本能を頼りに歌ってきたというか、感覚だけでここまできてしまっていたんです。いまも、オリジナルのキーのまま歌えていることは幸せなことです。