次のヒロインは
吉原で生きる女の悲しみと強さを見事に表現したのが瀬川役の小芝だ。まっすぐな性格で気が強いが、一方で女郎の悲哀も感じさせる。思いを寄せる蔦重とのやりとりでは、ふとした瞬間に恋する女性のかわいらしさを見せる。
「小芝さんは恋愛も含めて、吉原の女性像を全て表現していただきました。彼女が出てくることによって、画面が華やぐだけではなくて引き締まって、ちゃんとまとまる。瀬川の大きな存在感があるからこそ、蔦重がちゃんと見えてくる。1人だったら見えないものが、同士がいたり、ソウルメイトがいたり、ともに歩んできた仲間がいる、唯一無二の存在がいることによって、蔦重という確固たるベースができる。そういったものが生まれたのは小芝さんのおかげだと思っています」
身請けしてくれた鳥山検校と離縁したが、蔦重のことを思い一緒になるのをあきらめて姿を消した瀬川。序盤での存在感は大きかったが、今後のヒロインともいえるのが、吉原の花魁、誰袖(たがそで、福原遥)と、市中の本屋の娘でのちに蔦重の妻となる、てい(橋本愛)だ。

てい役の橋本愛(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)
「誰袖とていが大きく関わってきます。2人とも瀬川とは全く違うアプローチですので、そこを楽しんでもらえたら。蔦重は基本的に女性の気持ちがわからない設定なので、そこは全く変わりません。人間そんなに変わらないので、そういう要素も楽しんでいただけるといいなと思っています」