「タイパ逆転」現象

仮に、そこそこ残業が多めのメンバー層(非管理職)がいるとします。この人の基本給が26万円だとして、残業を月に25時間して、休日手当・深夜手当含め残業手当を6万円、合計32万円の給与を貰ったとします。この人の給与を時給換算すると、1時間あたり1592円になります。

一方で、同じ会社の管理職が貰っている月額給与が、役職手当含めて36万円だとします。残業しないメンバー層とは10万円の差額が設定されており、この時点では「賃金逆転」は起こっていません。

しかし、多くの会社で管理職は所定労働時間を超えて労働をしており、残業手当はつきません。例えば残業を50時間した場合、この管理職の給与は時給換算すると1592円になります。先程の「そこそこ残業が多めのメンバー層」と同じ金額になってしまいました。これ以上に管理職の残業が増えれば「タイパ逆転」現象の出来上がりです(下図表)。

<『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』より>

メンバー層に比べ、管理職のほうが責任も重く役割も多く、負荷が高いにもかかわらず、まったく同じタイム・パフォーマンスになるとしたら? いくら管理職層が、表面上は高い給料を貰っていても「苦労が報われている」と考えるのは難しいでしょう。「自分のキャリアのために副業でもしたほうがマシだ」となってしまいそうです。