総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている方への質問・疑問に答えてもらうのがこの連載です。第13回目は、「鬱になったかも?と思ったら」についてです。
(構成:野辺五月)
今や気軽に受けられる「メンタル」関係のお医者さん
Q:4つ下の妹が最近何となく調子が悪く……涙が止まらないことがあるといいます。ただ「いつもではなく、本当にちょっとだけなの」と精神科に行くことはためらっています。心療内科に行くことも検討していますが、特に他に不調はないので……と当人は尻込みしています。
医療機関にかかろうにも、何処に行ったらいいものか?こういう時の選択肢と選び方について、どう考えたらいいのか知りたいです。
A:精神科、メンタルクリニック、心療内科……どこでも大丈夫です。
具体的に何を基準に選ぶと良いのか、どういった手続きが必要か、何を用意すればいいのか、看護サイドからの一つの例としてお話ししますね。
いざとなると尻込みする人がいる反面、最近では就職活動や婚活が「上手くいかないからどうしたらいいのか」と相談に来る人もいるのだという精神科。
もちろん悩み過ぎて、精神的に厳しい状況になれば相談を受けるお医者さんなので、「追い詰められるくらいなら来て」とお医者さんご本人もお話しされていました。そのくらい「気楽に使ってほしい」と、極力「受診するハードルを下げてほしい」「特別に行くところではないのだ」と訴えている機関も多いようです。
これは精神科・メンタルクリニックのお話。ちなみに、精神科とメンタルクリニックは基本的には同じものを指しています。心の障壁を取り払うためにメンタルクリニックという名称が多く採用されるようになったという説もありますが、基本的な部分では同じです。
ただ、中にはスクールドクターや産業医というような役割も持っていて、その上で建てられたクリニックもあります。また、地域や医療機関によっては、社会人のメンタルヘルスを特に専門とするなど「得意分野」を明確に打ち出しているところもあります。
けれども、基本的にはどの医療機関にかかってもかまいません。
まずは通う患者側のニーズや、通いやすさに合わせて選びましょう。
例えば、会社や自宅の駅に近い方がよいという声もあれば、人の目が気になるので遠い方がよいという声もあります。心の負担と、体の負担を考えて場所を選びましょう。