25年春のNHK連続テレビ小説『あんぱん』のモデルであり、子どもたちに愛され続けているキャラクター「アンパンマン」の生みの親である、やなせたかしさん(1919~2013年)。新聞記者、宣伝部デザイナー、編集者、放送作家、舞台美術、作詞家など多分野で活躍し、1973年に代表作である『あんぱんまん』の絵本を出版。苦しい時もユーモアと好奇心を忘れなかった著者が、前向きに生きる秘訣を語る著書『何のために生まれてきたの?』(PHP文庫)より一部を抜粋して紹介します。
戦争の体験
戦争の体験は、その後の人生に大きく影響しているわけですね。
─―影響していますねえ……、つまりですね、戦争というのは、絶対にやっちゃいけないということです。勝っても、負けても。
とにかく殺人をしなくちゃいけない。殺す相手というのは、憎くも何ともないんですよ。家へ帰ればよいお父さんであったり、よい息子であったりするわけでしょう。でも、その人を殺さなくちゃいけない。相手も同じですよね。しかも、自分も殺されるかもしれない。