リテラシーがあることで、外食がおもしろくなる
どの業種もそうですが、お客がいなければ成り立ちません。日本の外食文化が衰退するのか、それともさらに発展していくのか――それは、飲食店の努力だけでなく、外食を楽しむ側の意識やリテラシーにも大きく関わっているように思います。
しかも、私の強い実感として、多少なりともリテラシーがあることで、外食がはるかにおもしろくなります。といっても料理に関する高度なリテラシーではありません。
たとえば、「この店の大将は、もともと***という名店で修業した。だから師匠に対するリスペクトを込めて、その名店のスペシャリテをこのようにアレンジして出している」といった師匠・弟子筋の情報。
「こういうスタイルの飲食店は今ではたくさんあるが、最初に始めたのはこの店」といった源流・元祖の情報。
「この店で使われている素材はすべて、シェフの出身地である**産。そこにシェフの郷土愛が込められている」といったバックグラウンドの情報。
「このスタイルは一般的には珍しいが、この土地ではそれが当たり前。なぜかというと……」といったご当地情報。
……というような「ちょっとした前情報」を持っていれば、流行に流されるのではなく、自分の好みに合った楽しみ方ができるようになります。