「人件費の高騰」や「食材の値上がり」など…多くの飲食店がこれらの問題に苦悩しています。そのようななか「人を惹き付け、お客様が引きも切らず訪れる繁盛店には、共通して『すごい戦略』がある」と語るのは、クリエイティブディレクター、レストランプロデューサーとして活躍する見冨右衛門(ミトミえもん)さん。見冨さんは、これまで1万1000軒以上のお店を食べ歩き、その記録をブログで発信しています。そこで今回は、見冨さんの著書『一流飲食店のすごい戦略 1万1000軒以上食べ歩いた僕が見つけた、また行きたくなるお店の秘密』より一部を抜粋・再編集してお届けします。
食体験は「2時間の映画を観る」のと同じ
私はたいてい1日に2回、ランチとディナーで外食します。つまり単純計算で年に730食、すべて違う店に行ったとして730軒、これを仮に30年続けたとして、2万1900軒の飲食店に行くことになります。
ところで、みなさんは「食べログ」に何軒の飲食店が登録されているか、ご存じでしょうか。
87万3721軒です(2025年2月24日時点)。私は人一倍、いや人十倍は外食していると思いますが、それでも、とうてい行き尽くせる数ではありません。
しかも気に入った店には何度も行くので、生涯で網羅できる軒数はさらに限られてきます。もちろん食べログに掲載されていない店もありますし、海外にまで範囲を広げようものなら……まさに星の数ほどの飲食店があり、気が遠くなってきます。
何がいいたいのかというと、生涯で出合えない飲食店のほうがはるかに多い。だからこそ1つひとつの出合いを真剣に考えたいし、1食たりとも無駄にはしたくないという感覚で、私は外食しています。