1つひとつの料理に向き合う
たとえば、いっとき「とじないカツ丼(卵でとじずに、ごはん、卵、とんかつが層になっているカツ丼)」が流行ったことがありますが、最初にそれをやったのは東京・渋谷の「瑞兆(ずいちょう)」という店だといわれています。
こういうことを知っているだけで、「とじないカツ丼、食べてみたい」と思ったときに、単に真似をしているような店で済ませるのではなく、本家本元の味を楽しみに行けるでしょう。
また、前情報があると、それをもって1つひとつの料理に向き合うことになるので、ただ出されるものを漫然と食べるよりも、ぐんと料理を味わうときの解像度が上がります。すると時間が経っても鮮明に思い出せるくらいビビッドな記憶が刻まれるのです。
こうして、その場限りではない豊かな食体験が自分のなかに蓄積されていく。本記事が、そんな外食の醍醐味を知り、楽しむ人が増えるきっかけにもなれたらと思っています。
※本稿は、『一流飲食店のすごい戦略 1万1000軒以上食べ歩いた僕が見つけた、また行きたくなるお店の秘密』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
『一流飲食店のすごい戦略 1万1000軒以上食べ歩いた僕が見つけた、また行きたくなるお店の秘密』(著:見冨右衛門/クロスメディア・パブリッシング)
「成功している飲食店」には、飲食業にとどまらない「ビジネスのヒント」がぎっしり詰まっています。
飲食店の舞台裏から、食にまつわるさまざまな教養まで、飲食店を経営している方だけでなく、食べるのが好きな方にも「美味しい一冊」です。