当時は五社協定があり、役者はある映画会社と契約をしたら、他の会社の作品には出ることができませんでした。でも私はそんなことなしという待遇だったようです。

石原裕次郎さん、勝新太郎さん、萬屋錦之介さんというスターの相手役をすべてやったのは岩崎加根子だけだ、などと言われたものです。

だけど私は、相手役が有名だとか、スターだとか、そんなことはよくわからなくて。とにかく、無我夢中で役に取り組みました。

六本木に俳優座劇場が竣工したのは54年。まさに自分たちで建てた劇場でした。その後、78年に建て替えることに。等価交換方式をとり、劇場と劇団は別会社となったんです。

劇場が立ち上がるまでの2年間は映画や台頭してきたテレビドラマに休まず出ていました。こうして80年に完成したのが、新しい俳優座劇場です。

その俳優座劇場が、今年4月末日をもって閉館することになりました。やっぱり寂しいですよ。「ここ、私が建てたんだ~」と叫びたいくらい、なんてね。(笑)