老健入所で認知症も改善!
ちなみに、老健に入所するだけで認知症も改善します(図1・図2)。
わたしの施設で2017年1月から2018年3月まで新規入所した120名のうち検査ができた71名について入所時と入所後3ヵ月のMMSE(認知症の評価をする神経心理テストの一つで長谷川式検査とよく似た検査。30点満点で27点以下を軽度認知症、21点以下を認知症疑いと判断)を比較したことがあります。
71名のうち52名は3ヵ月後のMMSEスコアが改善し、低下した人は15名でした。低下した15名の人は、もともとMMSEが1桁の重度認知症だった人や入所後すぐに体調を崩した人がほとんどでした。また、低下した15名のうち7名は部屋にこもりきりでほかの方との交流が極端に少ない人たちでした。
また、71名のうち10名は入所前にドネペジル(アリセプトのジェネリック医薬品)など抗認知症薬を内服していました。
わたしの施設では抗認知症薬は入所時に中止する方針ですので、この10名についても薬を中止していただきましたが、それでもうち7名は3ヵ月後MMSEが上昇しました。
同じ効果はデイでも期待できます。決まった時間に決まった場所に行き、体を動かし、ほかの人と交流するからです。認知症をたくさん診ている精神科の先生は「認知症の薬を飲むより、デイに行くほうが効果があるよ」とおっしゃいます。わたしもまったく同感です。
※本稿は、『最高の介護 介護のお医者さんが教える満点介護!』(講談社)の一部を再編集したものです。
『最高の介護 介護のお医者さんが教える満点介護!』(著:田口真子/講談社)
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