厚生労働省が公表した「介護職員数の推移」によると、2023年度の要介護(支援)認定者数は705万人で、年々増加傾向にあります。そんななか、「介護者の人生を優先してほしい。そして在宅介護に困ったら、施設に入れることに罪悪感を持たないでほしい、入所をためらわないでほしい」と話すのは、介護老人保健施設に勤める医師・田口真子さん。今回は、田口さんの著書『最高の介護 介護のお医者さんが教える満点介護!』から一部を抜粋しお届けします。
寝たきりの人が老健のリハビリで歩けるように!
病院から入所してきた松田さんは入所時寝たきりで、尿道に管が入った状態でした。体幹の筋力がないため車いすにも座れず、リクライニング型の車いすに乗っていただいていました。「そこに赤ちゃんがいっぱいいる」と幻視もあり、介護しようとすると強く嫌がりました。
それでも毎日ベッドから起こし、リクライニング型の車いすに乗っている時間を増やし、リハビリで体幹を強くしたところ、しっかりオシッコを出せるようになって尿道の管が外れ、3ヵ月後にはなんと歩行器で歩いていたのです。
活動量の増加にしたがって幻視も減り、笑顔あふれる人気者になりました。
さすがにわたしも驚く松田さんの回復ぶりでしたが、老健ではこういうことが決して珍しくありません。