(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
厚生労働省が公表した「介護職員数の推移」によると、2023年度の要介護(支援)認定者数は705万人で、年々増加傾向にあります。そんななか、「介護者の人生を優先してほしい。そして在宅介護に困ったら、施設に入れることに罪悪感を持たないでほしい、入所をためらわないでほしい」と話すのは、介護老人保健施設に勤める医師・田口真子さん。今回は、田口さんの著書『最高の介護 介護のお医者さんが教える満点介護!』から一部を抜粋しお届けします。

どうして老健は認知度が低いのか?

こんな素晴らしい施設、しかも介護保険で多くの人は1割負担で利用できる施設なのに、ケアマネによってはまったくすすめず、老人ホームのガイド本にも登場しない、そのわけは「終身の施設ではない」ことにあります。

ただし、病院の入院期限と老健の入所期限はまったく違います。病院ではすべての人に入院期限に退院、もしくは転院してもらわないと経営が成り立ちませんが、多くの老健では一部の人が家に帰ってくれればいい仕組みになっています。

つまりAさんが1月に入所したとします。多くの人が3ヵ月後の4月に退所しなければならないと思いがちですが、実際にはAさんではない誰か1名が退所すればよく、数の折り合いがついていればいいのです。

老健は3ヵ月と言われますが、必ずしも3ヵ月で退所というわけではなく、何年も利用している人、結果的に看取りになる人もたくさんいらっしゃいます