「高齢」を「幸齢」に変える
ぼくは、タクシーやバスから降りるとき、「大丈夫ですか」と手を差し伸べられると、ありがたく握らせてもらい、丁重にお礼を言うようにしています。ほんまは自分の足でスタスタ歩けますけど、優しい気持ちがうれしいじゃないですか。そんなぼくを見てマネージャーが余計なことを言うんですわ。「師匠! 女の人のときに限って長いこと手を握ってませんか!」。野暮ですねえ。ぼくは、レディの優しさに感謝を表すべく、ちょっと長めに手を添えさせてもらっているだけですよ。えへへ。
そういうわけで、ぼくは、90代になってますます人の親切が身に沁みるようになりました。いつも心は感謝でいっぱい。幸せやなあとしみじみ思います。
最近は、うれしいことに講演に招かれることも増えました。ぼくが筋トレのおかげで元気なことや、現役の喜劇役者であることに興味をもってくださる方が多いみたいです。いろんなお話をさせていただきますが、一つだけ必ずしようと決めていることがあります。それは、ホワイトボードに書かれた「高齢者」の「高」に×をつけて「幸」と書きなおすこと。
「高齢」を「幸齢」に変えるんです。
幸齢者、幸齢期……いいと思いませんか。齢を重ねるごとに幸せになるなんて、明るい気持ちになるでしょう。